長時間の夜勤は、健康や安全、生活等への悪影響が出ることが科学的に立証されています。影響の範囲は看護師さん自身のみならず、接する患者さんや家族、友人等へも波及するため軽視できない問題です。
ですが、予めリスクについて知っておくこと準備や対策が立てやすくなると思いますので、夜勤が及ぼす影響についてまとめてみました。
慢性的な睡眠不足
睡眠は、不足すると大脳の情報処理能力に悪影響を及ぼす事が知られています。そのため、長時間の夜間勤務は注意力、思考力等が落ち、事故の原因となある可能性があります。
睡眠サイクルの回復には1,2週間かかるため、ライフサイクルへの影響も考えられます。
発がん性リスク
国際がん研究機関(IARC:International agency for research on cancer)の「発がん性リスク」によると、サーカディアンリズムの乱れるような交代制勤務の方は、リスクの高い方から2番目の「おそらく発がん性がある」という所に分類されています。
参照:IARC Monographs- Classifications
これにより、デンマーク政府は夜勤勤務者と乳がんの関係を認めて労災補償を決定しているそうです。
また、米国国立がん研究所と日本睡眠学会の報告では、夜勤は乳がんと前立腺がんのリスクが高まるという報告も出されています。
循環器系のリスク
カナダ・ウェスタンオンタリオ大学疫学・生物統計学部のManav V. Vyas氏らによると、夜勤や当直などの勤務者は、心筋梗塞のリスクが23%、脳梗塞リスクが5%、冠状動脈系のリスクが41%増加するというデータを発表しています。
睡眠時間が不足すると、睡眠中の循環器系機能に負担がかかる事もわかっています。
事故・安全性のリスク
長時間の勤務や夜勤では、心身に大きな負担をかけ相対的に40から50%程度事故のリスクが高まることがわかっています。
○「8 時間の夜勤×6 回」では、週 40 時間労働と比較して 1.41 倍(41%増 )のリスク
○「12 時間の夜勤×4 回」では、週 40 時間労働と比較して 1.55 倍(55%増)のリスク
夜間の勤務は注意力が散漫になったり、眠さにより業務効率が低下することがわかっています。
まとめ
夜勤は発がん性と循環器系疾患へのリスクを高めるため、夜働く方は体調管理を怠らない事が大切です。安全性面でも、睡眠不足により脳の処理能力が低下するので、ヒヤリハットなどの事故を起こさないようにするために、休息を十分に取る必要があります。