「看護師は離職率が高い」なんていう話をよく聞きますが、他の看護師さんがどんな理由で仕事を退職したのか、気になる時ってありますよね。
日本看護協会では、就業促進や職場環境改善の為に、就業に関する調査を行っています。データを紐解いていくとわかる事もあると思うので、看護師の退職理由について上位5つを抽出してみました。
看護師の退職理由って?
『潜在ならびに定年退職看護職員の就業に関する意向調査』では、潜在看護師を対象として、「自身の状況に関すること」「職場環境に関すること」それぞれ16の項目を設定し、離職理由を調査しています。
※複数回答可 上位の5つのみ表示
自身の状況に関すること
自身の状況に関する理由として最も多いものは「妊娠・出産」でした。続いて、結婚、子育てと続きます。
以前、とある看護師さんが「新人看護師さんが入ってきたら、この人達の何割かは結婚して辞めていくものだと思っている」と言っていたことを思い出しましたが、上位3つ全てが「家族や家庭」に関することというのは、まさにそれを表していると思います。
女性が多いので仕方ありませんが、管理職の方は、手塩にかけ育てた後輩が、結婚等で辞めていく状況も、ある程度想定しておかなくては行けないと思います。
職場環境に関すること
職場環境に関することとしては、長時間勤務や超過勤務が1番多くなっています。続いて、夜勤の負担や責任の重さと続くのですが、仕事の忙しさや負担が問題となって、仕事を辞めている方が多いことに気づきます。
体力的な負担や人間関係の問題を取り上げられる事は多いですが、責任の重さや医療事故への不安で仕事を辞める方が多いのも、知っておかなければいけない事だとおもいます。
上記のデータは、就職活動の有無にかかわらず、未就業の看護師(潜在看護師)を対象とした調査です。その為、調査対象が幅広くなっています。
環境を変えたいと望んで退職した方と、結婚等で辞めた人とでは状況が全然違いますので、今度はナースセンターを利用をして実際に再就業した看護師さんのデータも見ていこうと思います。
転職をした人達の退職理由
「都道府県ナースセンターによる看護職の再就業実態調査」によると、看護師の退職理由として最も多いものは、「妊娠・出産」でした。妊娠・出産に続いては、自身の身体的な健康状態、精神的な健康状態、子育て、時間外労働と続きます。
「看護職に女性が多いこと」、「女性にとって妊娠や出産は大きいライフイベントであること」を考えれば、妊娠や出産を機に仕事を辞めるのは、十分理解できます。
ですが、気になるのは次の部分です。
離職者の約3割もの方が、健康問題を訴え、仕事を辞めています。健康状態の具体的な内容はわかりませんが、毎年看護師の約1割の人(10万人以上)が転職している現状を考えれば、その数はとても多いことがわかります。
上記のデータを、正規職員(フルタイム勤務)の看護師と、そうでない看護師にわけて見てみます。
正規職員(フルタイム勤務)
正規職員の方は、非正規職員の方より健康面で問題を抱えている方が多いようです。これは、主に働く時間の長さが影響しているように思えます。
時間外労働の負担が上位に来ている点や、上記グラフでは「その他」でまとめて記載してしまいましたが、夜勤の負担や、勤務時間の長さという項目も結構上位に来ていました。
長時間勤務等で負担がかかっている状態では、人間関係も悪化しやすいため、同僚との仲の悪さを理由に仕事を辞める方が多いのもうなずけます。
非正規職員
非正規職員の方で特徴的なのは、「自分の問題以外で仕事を辞めることが多い」ということです。妊娠・出産で退職する方は飛び抜けており、40代50代の方では、親族の介護問題を抱えている方も多いです。
まとめ
多くの看護師さんは、ライフイベントやライフスタイルの変化、自身の健康問題、勤務体制の負担により、仕事を退職しています。
妊娠や出産で仕事を辞めるのは仕方ありませんが、健康面の問題で辞めなければいけないのは、とてももったいないことだと思います。勤務体制について負担を感じている方も多いようなので、体を壊さないように、現役の看護さんは注意しておかなくては行けないと思います。